Secret Lover's Night 【連載版】
「そもそも智がやなぁ…」
「ちーちゃんの面倒見てるんは智人なんやから、智人に任せなさい」
「ほーらみてみ。せやから言うたやろ」
「智人も!ちょっとはお兄ちゃんの気持ちも考えさいって言ってるでしょ」
「怒られてやんのー」
「悠真君もいらんことしないの!ややこしくなるやないの」
「はぁい」
取り敢えず…とばかりに三人を叱った母は、また忙しそうにキッチンへと戻って行く。普段ならば片付けは千彩が手伝ってくれるのだけれど、もう寝てしまったのだから一人でするしかない。
慌ただしく動く母の姿を見かねて、晴人は残った食器を持ってキッチンへと入った。
「俺も手伝うわ」
「あら、ありがとう」
「ごめんな、いっつも」
「いつもは、お皿洗いはちーちゃんがしてくれるんよ」
「そうなん?」
「恩義や、言うてね。お兄さんの教育の賜物やろか」
「そうかもなー」
一緒に暮らしていた一週間も、千彩は進んで手伝いをしてくれた。何をどうすれば良いか教えればすぐに覚え、ご機嫌にそれを実行してくれる。元々晴人自身もそういったことを得意としていたのだけれど、やはりやってくれる人がいるとなるとまた違ってくる。
鼻歌を歌いながらキッチンに立つ千彩の姿を見て、結婚生活はこんなものかもしれないと考えたこともある。
「ええ嫁さんになるんやろな、あいつ」
「そやろねぇ。楽しみやわ」
「まだ先やけどな」
結婚は、千彩が二十歳を過ぎてから。離れて暮らすようになった今でも、晴人の考えは変わっていない。けれど、数年後に来るだろうその日が楽しみで仕方がないのも事実だ。
「あのまま…変わらんとおってくれたらええんやけど」
「大丈夫よ、ちーちゃんなら」
「俺の仕事が、普通のサラリーマンやったら良かったんやけどなぁ」
「せやったら、ちーちゃんと知り合うてなかったんちゃうの?」
「まぁ…サラリーマンやったら、こっちで就職してたやろしな」
「それやったらあかんやん。ええんよ。お兄ちゃんも今のままで」
自分が傍に居ることで少しでも千彩の状態が良くなるのならば、仕事を辞めても良いとさえ思っていた。地元へ戻り、時間の決まった仕事に就き、二人で静かに暮らせば良い。
悩みに悩み抜いた最初の一週間。それを察して止めたのが、親友の恵介だった。
「ちーちゃんの面倒見てるんは智人なんやから、智人に任せなさい」
「ほーらみてみ。せやから言うたやろ」
「智人も!ちょっとはお兄ちゃんの気持ちも考えさいって言ってるでしょ」
「怒られてやんのー」
「悠真君もいらんことしないの!ややこしくなるやないの」
「はぁい」
取り敢えず…とばかりに三人を叱った母は、また忙しそうにキッチンへと戻って行く。普段ならば片付けは千彩が手伝ってくれるのだけれど、もう寝てしまったのだから一人でするしかない。
慌ただしく動く母の姿を見かねて、晴人は残った食器を持ってキッチンへと入った。
「俺も手伝うわ」
「あら、ありがとう」
「ごめんな、いっつも」
「いつもは、お皿洗いはちーちゃんがしてくれるんよ」
「そうなん?」
「恩義や、言うてね。お兄さんの教育の賜物やろか」
「そうかもなー」
一緒に暮らしていた一週間も、千彩は進んで手伝いをしてくれた。何をどうすれば良いか教えればすぐに覚え、ご機嫌にそれを実行してくれる。元々晴人自身もそういったことを得意としていたのだけれど、やはりやってくれる人がいるとなるとまた違ってくる。
鼻歌を歌いながらキッチンに立つ千彩の姿を見て、結婚生活はこんなものかもしれないと考えたこともある。
「ええ嫁さんになるんやろな、あいつ」
「そやろねぇ。楽しみやわ」
「まだ先やけどな」
結婚は、千彩が二十歳を過ぎてから。離れて暮らすようになった今でも、晴人の考えは変わっていない。けれど、数年後に来るだろうその日が楽しみで仕方がないのも事実だ。
「あのまま…変わらんとおってくれたらええんやけど」
「大丈夫よ、ちーちゃんなら」
「俺の仕事が、普通のサラリーマンやったら良かったんやけどなぁ」
「せやったら、ちーちゃんと知り合うてなかったんちゃうの?」
「まぁ…サラリーマンやったら、こっちで就職してたやろしな」
「それやったらあかんやん。ええんよ。お兄ちゃんも今のままで」
自分が傍に居ることで少しでも千彩の状態が良くなるのならば、仕事を辞めても良いとさえ思っていた。地元へ戻り、時間の決まった仕事に就き、二人で静かに暮らせば良い。
悩みに悩み抜いた最初の一週間。それを察して止めたのが、親友の恵介だった。