Secret Lover's Night 【連載版】
「恵介がな、俺がおらんとあかんて泣きよるんやわ」
「恵介君はお兄ちゃんが大好きやからねぇ」
「もう30やで?そろそろしっかりしてもらわんとなぁ」
「ええやないの。ずっと仲良しでおったら」
「一生あいつの面倒見てかなあかんのやろな、俺」
「やろうねぇ」
晴人と喋りながらも手早く食器を洗い終えた母は、リビングで何やら言い合いをしている二人を指してふふふっと笑った。
「あの二人もそうなるんやろね」
「やろな。腐れ縁ってやつやな」
「悠真君の話じゃ、デビューも夢じゃないそうよ」
「へぇ。人気あるもんな、あいつらのバンド」
智人と悠真の所属するバンド「TOPAZ」と言えば、地元のみならず関西地域ではかなり人気のバンドで。晴人の暮らす東京にもその名は聞こえてきているのだけれど、あと一歩メジャーデビューには届かないといったところで足踏みを続けていた。
「写真、撮ってあげたら?」
「俺が?」
「お兄ちゃんがポスター作ってあげたら、東京でも人気出るんちゃう?」
「あいつはそんなん望んでへんやろ」
負けん気の強い弟が、いつだって自分をライバル視して後を追ってきていたのは知っている。一度高校時代に脇道に逸れてしまったけれど、バンドという居場所を見つけて何とか軌道修正をし、また自分の後ろに戻ってきた。そんな弟のためにも、いつだってカッコ良くいよう。誰にでも自慢出来る兄でいよう。そう思ってきた。
「デビューが決まったら撮ったるわ」
「あらっ。タダで?」
「まぁな。俺だって色々考えてんやで」
「さすがお兄ちゃん」
今回の千彩の件では確かに言いたいことは山ほどあるけれど、それ以上にお礼をしなければならない。それが自分に出来る一番良いお礼の方法だ。そう思い、誕生日プレゼントとしてそれを約束するために今日ここへ来た。
「あ…忘れとった」
漸くそのことを思い出し、晴人は缶ビールを片手にキッチンを出て、言い争う二人の間に割って入った。
「恵介君はお兄ちゃんが大好きやからねぇ」
「もう30やで?そろそろしっかりしてもらわんとなぁ」
「ええやないの。ずっと仲良しでおったら」
「一生あいつの面倒見てかなあかんのやろな、俺」
「やろうねぇ」
晴人と喋りながらも手早く食器を洗い終えた母は、リビングで何やら言い合いをしている二人を指してふふふっと笑った。
「あの二人もそうなるんやろね」
「やろな。腐れ縁ってやつやな」
「悠真君の話じゃ、デビューも夢じゃないそうよ」
「へぇ。人気あるもんな、あいつらのバンド」
智人と悠真の所属するバンド「TOPAZ」と言えば、地元のみならず関西地域ではかなり人気のバンドで。晴人の暮らす東京にもその名は聞こえてきているのだけれど、あと一歩メジャーデビューには届かないといったところで足踏みを続けていた。
「写真、撮ってあげたら?」
「俺が?」
「お兄ちゃんがポスター作ってあげたら、東京でも人気出るんちゃう?」
「あいつはそんなん望んでへんやろ」
負けん気の強い弟が、いつだって自分をライバル視して後を追ってきていたのは知っている。一度高校時代に脇道に逸れてしまったけれど、バンドという居場所を見つけて何とか軌道修正をし、また自分の後ろに戻ってきた。そんな弟のためにも、いつだってカッコ良くいよう。誰にでも自慢出来る兄でいよう。そう思ってきた。
「デビューが決まったら撮ったるわ」
「あらっ。タダで?」
「まぁな。俺だって色々考えてんやで」
「さすがお兄ちゃん」
今回の千彩の件では確かに言いたいことは山ほどあるけれど、それ以上にお礼をしなければならない。それが自分に出来る一番良いお礼の方法だ。そう思い、誕生日プレゼントとしてそれを約束するために今日ここへ来た。
「あ…忘れとった」
漸くそのことを思い出し、晴人は缶ビールを片手にキッチンを出て、言い争う二人の間に割って入った。