Secret Lover's Night 【連載版】
マンションを飛び出した恵介が一番に向かったのは、少し離れた場所にある公園だった。
財布も携帯も持たずに出たのだ。千彩のことだから、公園で遊びに夢中になっていて時間を忘れているのかもしれない。そんな思いが恵介の中にあった。
「ちーちゃん!ちーちゃん!」
大声を張り上げて公園内を駆け回る恵介に、何組かの親子の視線が集まる。
砂場、ブランコ、滑り台、木の陰。どこを探しても千彩の姿はない。
はぁーっと大きく息を吐いて膝に両手を付いた恵介に、一人の人物が遠慮気味に声を掛けた。
「あの…」
「え?はい?」
「ちーちゃんって、もしかしてこのお弁当箱のお姉さんのことですか?」
長い髪を一つに束ね、小さな子供を抱いた女性。年は、自分達と同じくらいだろうか。その女性が差し出したのは、千彩の大のお気に入りのヒーローの顔型をした小さなお弁当箱だった。
「これ…これの持ち主どこにいますか!?」
「あっ…あの…」
恵介のあまりの慌てぶりに、女性は気圧されて口篭もった。本人は気付いていないけれど、必死になって千彩を探していた恵介の形相は恐ろしい程に緊迫感が漂っていたのだ。
財布も携帯も持たずに出たのだ。千彩のことだから、公園で遊びに夢中になっていて時間を忘れているのかもしれない。そんな思いが恵介の中にあった。
「ちーちゃん!ちーちゃん!」
大声を張り上げて公園内を駆け回る恵介に、何組かの親子の視線が集まる。
砂場、ブランコ、滑り台、木の陰。どこを探しても千彩の姿はない。
はぁーっと大きく息を吐いて膝に両手を付いた恵介に、一人の人物が遠慮気味に声を掛けた。
「あの…」
「え?はい?」
「ちーちゃんって、もしかしてこのお弁当箱のお姉さんのことですか?」
長い髪を一つに束ね、小さな子供を抱いた女性。年は、自分達と同じくらいだろうか。その女性が差し出したのは、千彩の大のお気に入りのヒーローの顔型をした小さなお弁当箱だった。
「これ…これの持ち主どこにいますか!?」
「あっ…あの…」
恵介のあまりの慌てぶりに、女性は気圧されて口篭もった。本人は気付いていないけれど、必死になって千彩を探していた恵介の形相は恐ろしい程に緊迫感が漂っていたのだ。