灯火-ともしび-
悪酔いはほどほどに
* * *


「それじゃ、前期終了お疲れ様でしたーっ!かんぱーい!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」


美和が乾杯の挨拶をし、グラスが重なる音がする。


私の目の前には…


「お疲れ様でした、夏海さん!」

「…有言実行しやがったな。」

「俺ってそういう奴なんです。」

「あざといよね、ホント。」

「褒め言葉として受け取っておきます!」

「褒めてない!」


そう言い切ってグラスに口を付けた。
私が頼んだのはファジーネーブル。
どうもまだビールを美味しいと思える舌にはなっていない。
甘口のお酒が舌には丁度良い。


「夏海さんって飲めないんでしたっけ?」

「…苦いのは苦手なのよ。」

「お酒強いんですか?」

「まぁ、標準じゃない?すぐ泥酔したりはしないわよ。
そういうあんたは?」

「俺は結構強いですよ?ちゃんと帰りも送れます!」

「送ってもらわなきゃいけないほど酔わないわよ。」


…しかし今日の私は色々と間違えてしまうのである。

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