灯火-ともしび-
*風馬side*


「うわぁ…夏海がそんなんなるの…珍しー…ってか初めてじゃないの?」

「うわ、マジですか?」


ふにゃふにゃしている夏海さんの脇に腕を入れて、ギリギリ立たせている。
幹事の先輩がギロリと俺を睨みながら口を開いた。


「マジですよ。で、誰のせい?」

「あ、えっと…自爆っちゃ自爆だと…ですよね!?佐伯さん!」


俺は先輩である佐伯さんに助けを求める。


「夏海の自爆。つーか間違えてキツイの飲んじまったんだよ。
あと、なんだかしらんけど安達と張り合ってグイグイ飲んでた。」

「あー!安達くんのせいじゃない!」

「えぇ!?そんな!俺のせいじゃ…。」

「ってことで夏海のことちゃんと送り届けなさいよー!
あと手は絶対出さないこと!」

「…当たり前じゃないですか。」


幹事、酔ってる。
ていうか手なんて出しそうにないから俺に頼むんだろうし。


「それじゃこれにておひらき!女子はちゃーんと男子に送ってもらうか彼氏を呼ぶこと!以上かいさーん!」


強制終了された飲み会。
先輩たちも俺を見てちょっと憐みの目を向けてくる。


「ま、頑張れ安達。じゃーな!」


…情とかないんですか先輩。
そんな俺の思考をよそに、本格的に二人っきりになってしまった。
いや、それは普通に嬉しいんだけど、ね。


「すーすー…。」

「な、つ…みさーん?」


俺の問いかけは虚しく消える。

< 11 / 85 >

この作品をシェア

pagetop