灯火-ともしび-
燈祭りには浴衣で
『というわけで日曜日、燈祭りには浴衣で駅前に6時に集合ってことでよろしくお願いします。
あと、悪酔いはほどほどに、ですよ?』


ズキズキする頭をかかえながらも身体を起こし、ケータイに手を伸ばすと小さくライトが点滅していた。


不在着信一件。簡易留守録一件。
それが奴だった時、冷や汗が流れた。


そしてさっきのアレだ。
昨日、飲み会からどうやって帰って来たのか記憶がない。
つまりはそういうことなのだろう。


コンコン。


「はーい…。」

「お姉ちゃん…大丈夫?」


部屋に現れたのは小夏。
心配そうな表情を浮かべて、部屋に入ってきた。
冷たい麦茶まで持って来てくれる。


「飲む?」

「飲む。頂戴。」

「はい。」

「ありがと。」


冷たさが心地良い。喉はカラカラだった。
一口で飲み干し、呼吸を整えて私は小夏に訊く。


「昨日、私を送ったのは風馬?」

「うん!すっごく優しくて素敵な人だった!流馬くんに似てた!」


ニコニコと笑う姿が風馬に被る。
…この子…私の気も知らないで…。

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