灯火-ともしび-
「いつだっけ?」

「来週の日曜日だよ!」


…というと、今日は火曜日だから一週間とちょっとか。
我が妹はやはり取りかかりが若干遅い。


「お姉ちゃんも浴衣選ぼうよ?」

「ん?」


…なんか今、話が少しずれたような…?


「それは小夏のをってことよね?」

「私のもだけど、お姉ちゃんも浴衣着ない?」


小首を傾げるな、まったく。
そんな風に言ってきたって無駄だよ小夏。お姉ちゃんは…


「小夏と違って祭りに行く予定がないんだけど…。」

「え、でもあの…流馬くんのお兄ちゃん…。」

「お兄ちゃん?」


そんな奴は知らない。
そもそもりゅうまくんだって知らないのだ。ましてその兄なんて…。


「この間、流馬くんがお兄ちゃんがお姉ちゃん知ってるって言ってたよ?」


…分かりにくい。
ってちょっと待て。りゅうま?ま?ま、まさか…。


「そのりゅうまくんとやらの名字は?」

「安達だよ?」

「あ…だち…ってやっぱあいつか!」


安達風馬。りゅうまくんのまは馬か。

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