私の恋人は布団です。

 隆也の顔が哀しそうに歪む。


 延は,少しだけ罪悪感が芽生えたが,厳しい態度で続ける。


(少し顔がいいからって,甘やかしたらこの人の為にならないんだから……!)

 そう言い聞かせて,

「そのままの意味!もう,二度と私の前に現れないで」

 そう,キツイ口調で言った。


 隆也はと言えば,俯いたままである。


「ちょっと……聞いてる?」


 何の応答もしないので,延が痺れを切らせた様に言った。


「……迷惑でしたか……?」


 彼の声は少し震えている。


「当たり前でしょう。大体,布団が人間になるなんて嘘に決まってるじゃない」


 延は,そのまま続けた。
< 15 / 95 >

この作品をシェア

pagetop