奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
食べられない春ちゃんを楽しませたくて、頑張ってご飯の解説をしてみたが、見事に煙たがられてしまった。


桃花からは呆れられ、歩君は目に涙をためながら笑っていた。


『食事が進まないー』とお箸を持ったまま笑う歩君に釣られ、私まで笑ってしまい、終始笑いの耐えない食事の時間になった。



「今日はありがとう。 本当に楽しかった」

「こちらこそありがとう、楽しかったわ。 また会社でね」

「うん、気をつけて帰ってね」



歩君と桃花が乗った車が見えなくなるまで見送り、私たちは家の中に入った。


部屋のソファーに腰を降ろし、フーっと息をついた。



「楽しかったね」

「あぁ、そうだな」

「どうしたの? 元気ない?」

「そんな事ねぇよ。 お前は男つくんないでこのままでいいのかよ?」



普通はそう思うよね。


他の人にそんな事聞かれても何とも思わないけど、春ちゃんに聞かれるとちょっときつい……。



「男なんて気持ち悪いだけだよ」

「俺も男なんだけど?」

「春ちゃんは幽霊じゃん。 だからそんなの関係ないよ」

「無茶苦茶な奴。 まっ、お前がそれでいいならいいけどさ」



無言になり、私はソファーの背もたれに寄りかかり目を閉じた。


少しだけのつもりが、そのまま眠りについてしまっていた。





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