奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
春ちゃんの姿がない事にため息が零れる。


カーテンを開け、窓越しに外を眺めた。


何をしていても、自然と目が春ちゃんを探してる。


それだけ居てくれる事が当たり前で、安心できる存在になっていた。


ボーッと外を眺めていると、春美ちゃんが足に擦り寄ってきた。



「よいしょっと……」



春美ちゃんを抱き上げ、一緒に夜景を眺めた。


夜景というほど立派な建物はないけど、ご近所さんのお家のイルミネーションが綺麗だった。



「あ! ごめん、春美ちゃん……春美ちゃんのクリスマスプレゼント買ってないや……今度買ってくるね」

「にゃあ〜」



頭を撫でると気持ち良さそうに目を細める春美ちゃん。


モコモコまん丸で綿あめみたい。


というか、ちょっと太り気味……?


どうやってダイエットさせようか……そんなことを考えながら夜空を見上げた。


……あっ……!



「雪、降ったな」



っ!?


突然耳元で聞こえた声。


バッと顔を向けると、見慣れた春ちゃんの顔があった。


綺麗な横顔。


視線は外の景色へ注がれている。



「メリークリスマス」



人の気持ちも知らないで、綺麗な笑顔を向ける春ちゃん。


ムカつく。



「……メリークリスマス」



それでも私は腹立たしさよりも嬉しさの方が大きくて、同じく笑顔を返した。





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