『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「・・・・優さん、マリンはまだ
”なるだけ”が解らないみたいで。」

走ってきたマリンを
抱っこして和樹が言う。


「はぁ・・・普段の仕事だったら
無理すれば行けたけど、
土曜日に取引先のイベントがあるのよ。
相手が百貨店だから土日がメインなの。」


(・・・・なに言い訳してるのよ。)

優は目を伏せた。


「しょうがないですよ。
マリン、パパとカイトで応援いくよ!
美味しいお弁当作るからな〜」

和樹は宥める様にマリンに言う。


「・・・・・・・・・・・・・・」

黙ったマリン。
目には涙を溜めている。


(・・・・・マリン)

優は娘のお願いを聞けず
落ち込んだ。




「マリン・・・・バス来るよ。
行こうか。
優さん、少しだけ
カイトをお願いします。」

黙ったままのマリンに和樹は
声をかけて抱っこしたまま
玄関に向かう。



優はダイニングテーブルの
ベビーチェアに座る
カイトを抱き上げる。


「マ〜マ・・・・あ〜う〜」

嬉しそうなカイト。



(・・・・大嫌いか。)

優は庭に面したリビングの窓から
バスをまつマリンと和樹を見た。



お隣りの中川さんが和樹に笑顔・・・
というよりは女の顔で
何か話かけている。


(・・・・・中川さんが無理矢理ね。)

中川さんの態度をみれば和樹が
言っていた事は嘘じゃない事も解る。


和樹は知らないが、外には出ないが
毎日優はリビングの窓から
マリンの見送りをしていた。



だから、中川さんが和樹を
狙っていた事は引っ越しをしてきて
しばらくして気付いていた。



(迫るきっかけをつくったのは
和樹だけど。)

優は一ヶ月くらい前に和樹が
中川さんのオデコに手を
当てていたのも見ていた。



(何であの時ムカムカしたんだろう・・・)

優は最近ある不安と
重ねて考えていた。



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