『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「・・・・優、どうした?」

浮かない表情の優を心配する茜。


「・・・・なんでもない」


「・・・・なんでもないって
顔じゃないでしょ。
まだ和樹の事で悩んでるの?
それとも・・・・藤堂さん?」


「・・・・肇は関係ない。」


「でも、あれから藤堂さんに
何も言われてないの?」


「・・・・・・・・・・・・・」


「その顔は何か言われたのね。」

一瞬表情を曇らせた優を
茜は見逃さなかった。



コンコンッ
「常務、そろそろ会社を出ないと
中野様とのお約束の時間に間に
合わないかと」

優の返答を待っていたら
部下が茜を呼びに来た。


「・・・・まぁ、話したくなったら
言ってよ。何か面白そうだけど
楽しみにとっとくから。
んじゃ仕事してきますわ社長さん!」

茜は優にウィンクして
会議室を出て行った。



「・・・・全然、面白くないわよ」

一人取り残された優が呟く。


それから椅子に腰掛け
昨日の事を思い出した。



---------------


「高松さん、打ち合わせしたい事
あるんだけどいいかな。」


「・・・・はい」


仕事の為、百貨店に来ていた
優に藤堂が声をかけてきた。


仕事相手である藤堂の言葉を
無視する訳にもいかず優は渋々
了承する。



ヒソヒソ・・・

「あの二人って昔
付き合ってたらしいよ」

「あ〜聞いた、聞いた!
この間本社で揉めてたんでしょ?」

「じゃぁ今も?
でも二人共結婚してるよね?」

「え〜・・・泥沼!?」


優と藤堂が二人で出て行く姿をみて
騒ぐ百貨店のスタッフ達。


先日、二人が藤堂の勤める会社で
少し言い合いになった事は
一気に噂になっていた。



< 356 / 532 >

この作品をシェア

pagetop