『主夫』だって『恋』してますけど何か?
クローゼットの中で動けずにいる俺。
「・・・・・和樹
そのままでいいから聞いて。」
優さんはクローゼットの中を
覗かずに話し出した。
「先生の事で私が怒ったから
出て行ったなら謝るわ・・・・・・
ごめんなさい。」
優さん・・・・・・
「・・・・和樹は出て行って
てっきり先生と暮らすんだと思った。
でも次の日、茜に幼稚園まで
連れていかれて先生に聞いたら
謝られた。
先生が酔った和樹を勝手に
家に連れていったんだって。
それから、和樹とは
本当に何もなかったって。
ちゃんと話し聞かないで
・・・・・・ごめん。」
それは・・・・・・
俺だって優さんの話しちゃんと
聞かずに藤堂さんが付けた
キスマークに頭きて、
無理矢理抱いたのと同じ事だから。
俺に謝られる筋合いはないよ・・・・
「・・・・・・違うんです。
別に優さんが怒ったから
出て行った訳じゃありません。
その前から出て行く事決めてました。」
「・・・・・・どうして?
・・・・・ううん。あたり前よね。
私が、和樹の事、家政婦みたいな
扱いしかして来なかった。」
優さんの表情は
クローゼットで見えない。
「・・・・・・それも違います。
俺・・・・・
優さんの事、今でも好きです。
マリンの事も大切です。
だから・・・・出て行きました。」
「・・・意味が解らない。」
「・・・・俺、自信なくなっちゃって。
仕事もしてないし、
マリンと血も繋がってない
それに・・・・頼りない。
それに比べて藤堂さんは大人で
格好良くて、ちゃんと収入あって・・・・
それからマリンの本当の父親で。
俺にないもの全部持ってて・・・・・
敵うわけないよ・・・・
優さんの事も、マリンの事も
幸せに出来るのは藤堂さん。
だから・・・・・
カイトと一緒に家を出ました。」
俺は暗いクローゼットに差し込む
光から目を逸らした。