あおぞらカルテ
ところが、母親は戻って来なかった。

1時間経っても戻って来ないから、まさかとは思ったけど…。

受付のおじさんは言う。


「電話をしてくるって言って、出て行ったきり。カバンも置いたままだし」

「…まじかよ!?」

「…逃げたかな…」


なんてことだ!!

カバンも子供も置き去りだなんて。


「最近そういうの多いんだよ。モラルがなってないっていうかさぁ」


おじさんは愚痴っている。

でも…7歳の小学生だぞ?

住所もそう遠くはなさそうだし、帰ろうと思えば電車使って自分でも帰れるんじゃないか?

わざわざ逃げる意味がわからない。

そのとき、パタパタと走ってくる足音が聞こえた。

はるとくんだ。


「…お母さんは?」

「えっとぉ~…帰っちゃったみたいだ。明日家まで送って行くから、今日は病院に…」

「今日じゃなきゃ嫌だ!」

「う~ん、そうだねぇ…」


困り果てていると、はるとくんは言った。


「…先生…助けて」
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