悲観のブルーダイアモンド

本棚の1番上の棚だけ本の奥が見える。
天井と本の少しの隙間から無限に広がる闇が見えた。
本を取り出した後があったのはこれを
確かめるためだろう。
私も一冊本を手に取った。
手にした本があった所からはより鮮明に闇が見える。
細い通路だろうか。幅はそれほど広くないが先は見えない。
手に持っていた本の間から一枚の紙がゆかに落ちた。

私は本棚を動かす方法を考えると同時に椅子から飛び降り
床に落ちた紙を拾った。

紙は裏返しで正面を向けると
それは写真だった。

その写真には見慣れた顔が写っている。

「お母様…。」

思わず口にしてしまった。
その写真にはお母様とお父様が
立っていて
お祖父様お祖母様が1番前で椅子に座って。それから
周りには知らぬ顔がある。

だが、奇妙なのが
椅子に座っているお祖父様とお祖母様が
同じ洋服に身を包んだ同じ顔の赤ちゃんを抱っこしている。
どことなく私にも似ている。
しかし私は姉妹などいない。

じゃあ誰かの子供だろうか。
でもどうしてお祖父様とお祖母様が
抱かれているのだろう。
今よりお若いお母様。
今は亡きお祖父様とお祖母様。
あまり記憶のないお父様。

この写真は一体。
私はとても怖くなった。
この写真の人々はみな悲しげな顔をしていたから。




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