薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
しかしながら1人で歩く夜道は恐ろしい。
痴漢に不審者と生物学上女に分類されるものが抱く恐怖もあるが、霊力に富んだものが抱く独特の恐怖もあるのだ。
だから念のために、母が14の誕生日祝いにくれた刀を所持している。
未だに使い慣れぬはずの刀ではあるが、何故か刀は自分の掌に気持ち良く収まる。しかも使いやすい。まだ重さにはなれずにいるが。
特に行くあてもなく彷徨う私。見守るのは藍色に染まり、星と欠けた月が浮かぶ空。周りは外灯のおかげで辛うじて見える程度で、景色など楽しむ気も無い。