薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
そろそろ帰ろうかという時のこと。
首に鈍く煌めくものが当てられた。
この煌めきは刀だ。しかも鋭い。容易く私の首など斬れるだろう。
そう思うと冷や汗が出てきた。頬を伝い、顎辺りで一度止まり、落ちる。
死へ向かう恐怖。此れほどにまで恐ろしいとは。
櫻澤君に救われた時よりも恐怖が増している。
誰だ。私の首にあてる者は誰だ。
何者か分からない恐怖と死へと直面する恐怖が混在し、畏怖となる。
「だ…れ…」