薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
今まで心の奥にしまいこまれていた過去話とその裏に隠された真実を知った私―――藤岡紫音は、家に帰宅後姉の紫華と道場で向き立っていた。
何故こんな状況になっているのか。それは自分が姉に今日理事長から離された話を告げたかったから。
きっと姉も誤解している。誤解を解かなければ……いや誤解を解きたいのだ。あれは私達の方が悪かった。そして私の怪我は事故だったのだ。それだけは告げねば、どんな家よりも自分の家に関して誇りを抱く櫻澤家のために、自分のために。
頃は日が沈みかけた昼と夜の中間。橙に染まる空の光が格子となっている窓から差し込み、その傍にいる姉の肌が橙のような色合いに見える。綺麗だ。その姉の表情は実に真剣みを帯びていた。きっと自分が放っているただならぬ空気を察してくれたのだろう。
何故こんな状況になっているのか。それは自分が姉に今日理事長から離された話を告げたかったから。
きっと姉も誤解している。誤解を解かなければ……いや誤解を解きたいのだ。あれは私達の方が悪かった。そして私の怪我は事故だったのだ。それだけは告げねば、どんな家よりも自分の家に関して誇りを抱く櫻澤家のために、自分のために。
頃は日が沈みかけた昼と夜の中間。橙に染まる空の光が格子となっている窓から差し込み、その傍にいる姉の肌が橙のような色合いに見える。綺麗だ。その姉の表情は実に真剣みを帯びていた。きっと自分が放っているただならぬ空気を察してくれたのだろう。