薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
「姉様、櫻澤家はどうしようもない者たちだと思っているだろうけど、違うの。今日はその話がしたかったの」
急に眉があがった。まだ高校生である筈の姉の眉間に皺が寄る。故に通常より老けてみた。体からは尋常ではない殺気が放たれる。
それほどまでに姉は櫻澤家の人が嫌いなのだろうか。なぜそこまで嫌いになれるのか、不思議だ。
「何?そんな話をしに来たの。なら時間の無駄よ。これ以上関わってはお母様にも迷惑がかかってしまう。何があったかは知らないけど……忘れてしまいなさい」