薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~


確かに藤岡さんは俺達からしてみれば、弱気な少女。


しかしながらそれはあくまで肉体的なことであって、精神的なものではない。きっと彼女の強さは精神的に来るものなのではと思うのだ。確かに俺達も日々肉体精神精進しているが、彼女は本質的なものでさらなる努力を積み重ねれば俺達は敵いやしないだろう。それに彼女ならば自分では伝えられない、持ちえないものを既に妖と化してしまった兄に最期伝えてくれるかもしれない、そう思うのだ。だからこそ協力して欲しいそう思うのだ。


きっと形にはなりえない考えは俺が口に出しても静寂には理解できぬことであろう。自ずから理解することが大切なのだから。故に彼女の不機嫌な表情を普段の表情へ戻すことはできない。



そんな俺は変わりと言ってはなんだが、少しばかり身長の低い静寂の頭を優しく撫でまわした。「そのうち静寂にもわかるよ。彼女の強さがね」と呟きながら。
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