薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~





「満点って」



そんな言葉が聞こえたからだった。


黒板に群がる少年少女らは口々に似たような言葉を発する。


そんな言葉を聞いては紫音も茜も気になるに決まっている。二人は勢いよく立ち、顔を見合わせ、黒板の方へ向かい、貼ってある紙を見る。そこには事務的に打たれた活字が書かれている。


紫音は字を目で覆う。そうして目に入った。


500点という数字が。


500点それは国語、数学、社会、英語そして理科各百点満点とした時の合計点だ。それが最も高得点であり、誰もが取れる点数ではない。


そもそもそんな目が飛び出るほどの高得点を取るものは今まで1人も出なかった。それ以上に私立でしかも国の中で1、2を争うほどレベルの高い学園なのだ。普通の市立だったらあり得るかもしれない。でもありえない。


大抵先生は満点を取らせないよう1問だけ絶対とけないような問題を解かせる。それは中学生で油断させないためだ。これから力をつけさせるための先生たちが考えた策だ。そんな問題おも解いた人がいるのか。


紫音は興味がわき、名を見る。点数が映し出されていた目は、次に名を映し出す。そこに書かれていたのは









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