薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
左横へ視線を移すと、幼馴染とは対極に生真面目に授業を受ける少女の姿がある。
緑色の晩に書かれた白やら、赤やら、青やらで書かれた文字を食い入るように見て、先生の言葉に耳を傾ける少女。
それがあるべき中学生の姿である気がする。だが…大抵のものは聞く耳を持たない。
辛うじてノートはとっているようだが、軽くしかとっていないだろう。
なんせ此処は私立中学校。大半がお嬢様、御坊ちゃまという奴だ。だから家庭教師というものが個人個人についている。こんなところで長ったらしい先生の話など聞く必要ないのだ。此処にわざわざ座っているのは出席日数稼ぐため。彼らはほとんど聞いていない。
聞いているのは運良き、数十人しかいない所謂庶民に属する者。まぁ、その中のものはほぼ頭脳明晰という奴で、それほど真面目に受けてはないだろうが。