シャクジの森で〜番外編〜
―――ん―――?

エミリー、最初と待っておる場所が違うが・・・何故だ。

それに、周りをしきりに気にして、きょろきょろしておる。

何か、あったか―――



周りに視線を這わすと、ササッと動く影を目の端にとらえた。

物陰から延びる影がコソコソと動く。

そこからモガモガと、くぐもった声が聞こえてくる。

・・少々気になるが・・・大事ではあるまい。




「エミリー、待たせたな。何があった?」


「あ、アラン様。ぇっと、今、袋の中にあった花飾りが、何故か落ちて転がっていってしまって・・・。拾ってたんです」




袋の中にあったものが、落ちて転がった?

先程おった場所から3メートルは離れておる。

いくらなんでも、そんなに転がるはずはない。

あり得ないことを申す。

これは、飛んだ、いや、飛ばされたと考えた方がよさそうだ。

先程のコソコソと動く影の場所をちらりと見やると、2本の脚がもがき動くのが見えた。


あの妖しい二人組の姿も消えておる。


・・・成程、そういうことか・・・・。




「・・・あの、アラン様、お疲れさまでした。でも、あの方は大丈夫なのですか?」


「あぁ、心配するな。あの者は兵士だ。我が国の者ではないが、鍛えておるゆえ、あのくらい平気だ」




しかし・・・花飾りが飛んだ件はさておき、あの兵士らしき男・・・。

あの髪色に瞳の色。

話し掛けてきた謎の人物。


考え合わせると、ひとつの可能性に思い至る。


―――いや、まさか・・・な―――




「アラン様、どうかしたのですか?」


「いや、何でもない。君の買い物に行く前に、少しばかり寄りたいところがあるんだが、良いか」


「えぇ、いいわ。どこに行くのですか?」


「私の秘密の場所だ。会わせたい者がおる」


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