シャクジの森で〜番外編〜
西に向かい歩いて行くと、一軒だけ他と違う風貌の店が見えてくる。
しょうしゃな作りの多い西通りの店が建ち並ぶその中で、パステルカラーで彩られたメルヘンチックな外観のそれは、遠目から見ても異彩を放っている。
目的の場所はここだ。
『喫茶 空のアトリエ』
メルヘン風の可愛らしい装飾の施された扉を開けると、カラン・・コロン・・とベルが鳴る。
一歩店内に入ると、その名の通り一面の空の世界が広がる。
壁、天井、それに床までも、一面に描かれた青い空と白い雲。
所々に飾られた鳥の模型。
それは、訪れた者を空の世界に誘う。
リアルに描かれているため、敏感な者は、まるで、自分が空を飛んでいるような感覚に陥ってしまう。
私の手を掴むエミリーの手に力が入り、体をすーと寄せてきた。
「怖いのか?大丈夫だ、ただの絵ゆえ」
「違うの。なんだかふらついてしまって・・・」
「はーい、いらっしゃいませぇー」
奥からいそいそと出てきたのは、アランと同じくらいの年の女性。
赤みがかったブラウンの髪に青い瞳。
下唇の脇の黒子が色っぽい。
背が高くてスタイルの良いその女性は、どんな者に対しても、砕けた口調で話す。
「どうぞー、どこでも空いてる席に座っていいわよぉ・・・って、今、いっぱいだったわ」
店の中を見ると、申し訳程度に置かれたテーブルと椅子は、すでに客でいっぱいだった。
女性は、胸の前で両手を合わせて申し訳なさそうな顔を作った。
「ごめんねぇ、また来てくれるかい?」
「久しぶりだな、サリー」
「はぁ?誰よ。私には、アンタみたいにデカイ貴族の男の知り合いなんて、いないわよ?」
サリーの瞳が、頭のてっぺんからつま先までゆっくり移動していく。
こんな体格のいい貴族様、私知ってたっけ?
目深にかぶった帽子のせいで、余計誰だか分からない。
「んもうっ、店の中だよ。アンタ帽子取りなよ」
「駄目だ。ワケがあって帽子は取れぬ」
「はぁ?何気取ってんのさ―――アレ?ちょっと待って・・・失礼するわよ」
マニキュアを塗った指が、ツイと帽子を上げる。
深いブルーの瞳がサリーをじろりと睨んだ。
「サリー、相変わらずだな」
しょうしゃな作りの多い西通りの店が建ち並ぶその中で、パステルカラーで彩られたメルヘンチックな外観のそれは、遠目から見ても異彩を放っている。
目的の場所はここだ。
『喫茶 空のアトリエ』
メルヘン風の可愛らしい装飾の施された扉を開けると、カラン・・コロン・・とベルが鳴る。
一歩店内に入ると、その名の通り一面の空の世界が広がる。
壁、天井、それに床までも、一面に描かれた青い空と白い雲。
所々に飾られた鳥の模型。
それは、訪れた者を空の世界に誘う。
リアルに描かれているため、敏感な者は、まるで、自分が空を飛んでいるような感覚に陥ってしまう。
私の手を掴むエミリーの手に力が入り、体をすーと寄せてきた。
「怖いのか?大丈夫だ、ただの絵ゆえ」
「違うの。なんだかふらついてしまって・・・」
「はーい、いらっしゃいませぇー」
奥からいそいそと出てきたのは、アランと同じくらいの年の女性。
赤みがかったブラウンの髪に青い瞳。
下唇の脇の黒子が色っぽい。
背が高くてスタイルの良いその女性は、どんな者に対しても、砕けた口調で話す。
「どうぞー、どこでも空いてる席に座っていいわよぉ・・・って、今、いっぱいだったわ」
店の中を見ると、申し訳程度に置かれたテーブルと椅子は、すでに客でいっぱいだった。
女性は、胸の前で両手を合わせて申し訳なさそうな顔を作った。
「ごめんねぇ、また来てくれるかい?」
「久しぶりだな、サリー」
「はぁ?誰よ。私には、アンタみたいにデカイ貴族の男の知り合いなんて、いないわよ?」
サリーの瞳が、頭のてっぺんからつま先までゆっくり移動していく。
こんな体格のいい貴族様、私知ってたっけ?
目深にかぶった帽子のせいで、余計誰だか分からない。
「んもうっ、店の中だよ。アンタ帽子取りなよ」
「駄目だ。ワケがあって帽子は取れぬ」
「はぁ?何気取ってんのさ―――アレ?ちょっと待って・・・失礼するわよ」
マニキュアを塗った指が、ツイと帽子を上げる。
深いブルーの瞳がサリーをじろりと睨んだ。
「サリー、相変わらずだな」