シャクジの森で〜番外編〜
「・・・エミリー、此方へ・・・彼は、スミフだ」
エミリーの手を引き前に進ませると、王子妃らしく優美に微笑みながら少し膝を曲げる。
「お初にお目にかかります。スミフさん。エミリーと申します」
「はじめまして、奥方様。私は、スミフ・アリーと申します。ヴァイオリンを作っております。お見知りおきを」
「スミフは、職人でもあり、楽士でもある。久々に聞きたい。後程一曲願っても良いか」
「もちろんで御座います。王子様。とっておきの曲を御聴かせ致しましょう」
「宜しく頼む。・・・スミフ、テラスを借りて良いか」
「あぁ、あぁ、はい、もちろんで御座います。是非お使い下さい。王子様がいつ来られてもいいように、いつも手入れしておりますので。例のものは、サリーに持って来させます」
スミフは深く頭を下げると、いそいそと狭い廊下の向こうに消えていった。
くぐもった声だけが聞こえてくる。
『サリー。おい、サリー・・・例のものを急げ』
『なんだい、うるさいな。今やってるよ、もう少し待ってなっ!全く、さっきまでムスッとしてたのに、なんだいっ』
「アラン様、楽しい方たちですね?」
エミリーがクスクスと笑う。
あの者たちは少々出会い方が他と異なるゆえ、ずっと気取らぬ付き合いが出来ておる。
いつでも気楽に訪れることができる、とっておきの場所だ。
「スミフとサリーは幼き頃からの知り合いだ。成人になる以前は、城下に参るたび暇を見つけてはここに訪れておった」
テラスに置かれた簡素な椅子とテーブル。
眼下にはキラキラと日に照らされて輝く湖面が見える。
黄色く色づいた木の葉と、燃えるように赤く染まった木々の葉が、鏡のように湖面に映り込む。
今は丁度木の葉の色づく季節。
紅葉は他でも見られるが、一枚の絵画のようなこの景色は、ギディオンの国でもここでしか見られぬ。
市場通りの喧騒から離れ、静かで穏やかな時がここには流れる。
心休まるひととき。
「待たせたね、はい、どーぞ」
サリーが空のアトリエ特製のマーブルケーキと、特製ブレンドコーヒーを持ってきた。
静かにテーブルの上に置いて離れていく。
エミリーの手を引き前に進ませると、王子妃らしく優美に微笑みながら少し膝を曲げる。
「お初にお目にかかります。スミフさん。エミリーと申します」
「はじめまして、奥方様。私は、スミフ・アリーと申します。ヴァイオリンを作っております。お見知りおきを」
「スミフは、職人でもあり、楽士でもある。久々に聞きたい。後程一曲願っても良いか」
「もちろんで御座います。王子様。とっておきの曲を御聴かせ致しましょう」
「宜しく頼む。・・・スミフ、テラスを借りて良いか」
「あぁ、あぁ、はい、もちろんで御座います。是非お使い下さい。王子様がいつ来られてもいいように、いつも手入れしておりますので。例のものは、サリーに持って来させます」
スミフは深く頭を下げると、いそいそと狭い廊下の向こうに消えていった。
くぐもった声だけが聞こえてくる。
『サリー。おい、サリー・・・例のものを急げ』
『なんだい、うるさいな。今やってるよ、もう少し待ってなっ!全く、さっきまでムスッとしてたのに、なんだいっ』
「アラン様、楽しい方たちですね?」
エミリーがクスクスと笑う。
あの者たちは少々出会い方が他と異なるゆえ、ずっと気取らぬ付き合いが出来ておる。
いつでも気楽に訪れることができる、とっておきの場所だ。
「スミフとサリーは幼き頃からの知り合いだ。成人になる以前は、城下に参るたび暇を見つけてはここに訪れておった」
テラスに置かれた簡素な椅子とテーブル。
眼下にはキラキラと日に照らされて輝く湖面が見える。
黄色く色づいた木の葉と、燃えるように赤く染まった木々の葉が、鏡のように湖面に映り込む。
今は丁度木の葉の色づく季節。
紅葉は他でも見られるが、一枚の絵画のようなこの景色は、ギディオンの国でもここでしか見られぬ。
市場通りの喧騒から離れ、静かで穏やかな時がここには流れる。
心休まるひととき。
「待たせたね、はい、どーぞ」
サリーが空のアトリエ特製のマーブルケーキと、特製ブレンドコーヒーを持ってきた。
静かにテーブルの上に置いて離れていく。