プラチナ・ラブ

スーパーで食材を買ってから家に帰る。

……初めてかもしれない。

親が離婚してから、誰かと一緒に買い物をしたのは……。


「ただいま」

「おじゃまします……」


花音は少し緊張した面持ちで家の中に入った。

そんな花音を見ながら俺は少し笑う。


「誰もいねぇよ」

「え……本当に?」

「マジで。
俺、一人暮らししてるようなもんだし」


とりあえず、買ってきたものを台所に置いた。

花音は俺の言葉に対して何も聞いてこなかった。

何となく……分かってるだろう。

俺も親と上手くいってないことが。

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