オトナの秘密基地
旦那様もまだ、起きていたんだ。

カツヤを挟んで、旦那様がこちらを見ているのがわかる。


「お腹の赤子が元気すぎて、眠らせてくれないんですよ」


正直にそう答えたら。


「そうか、そんなに元気なら安心だ。

さっきはどうなることかと思った」


「ご心配をおかけしました。

もう、大丈夫ですから」


ふふっと笑って、布団の中で自分の、いや、正確には和子さんのお腹を撫でてみた。

すごい、掌にも胎動がこんなに伝わるんだ。

これ、旦那様は今まで触っていたのかな?

我が子がここにいるよって、一生懸命アピールしているこの様子、是非確かめて欲しい。

……だって、旦那様はこの子に会うことなく戦死してしまうのだから。


「お腹、触ってみませんか?」


「いいのか?」
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