オトナの秘密基地
そうだ!


「あの……お願いがあるのです」


「なんだ?」


「お腹の子の、名前をつけて下さい。

……あなたが行っている間に、生まれるかも知れませんから」


そう言った途端、旦那様は腕組みをして考えはじめた。


「実は、候補はいくつかある。

もし、男だったら昭和の和に弓矢の矢で『和矢』にしたかったんだが、『カツヤ』と『カズヤ』だと聞き間違うよな……。

征伐の征に矢で『征矢』……いや、やっぱり新しいの新に矢で『新矢』にしてくれ」


「新矢、いい名前ですね」


そう答えながらも、中田さんのお父さんの名前まで確認していなかったことを、後悔していた。

この名前で間違いないだろうか?

名前でその人の歴史が狂うことだってあり得る。

私のところに、企業から就活の資料が勝手に届いたように。
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