オトナの秘密基地
「それから、女だった時こそ、さっきの『和』の字を使いたい。

後ろに実るの文字をつけて『和実』はどうだろう。

和子の名前と似ていてまぎらわしいか?」


「え!? いいえ! いい名前ですね。

女の子だったら『和実』にします」


突然、私の名前が出てきて驚いた。

偶然だろうか?


「カツヤが生まれた時は、この戦争に勝てるようにと『勝』の字を入れたんだったな。

でも、今は正直なところ『和(なごみ)』が欲しい。

平和が実るように、せめて名前に期待をこめるか、なあ『和実』?」


「まあ、男の子かも知れませんよ?」


「では新しい時代を生きる『新矢』かな?」


組んでいた腕を解いて、旦那様は私のお腹に手を当てる。

とても幸せそうに笑っているその姿を見て、胸の奥が痛くなった。
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