オトナの秘密基地
まだ若い……多分、旦那様だって、リアルな私の年齢より若いかもしれない夫婦。

いろんな障害を乗り越えて結婚して、子どもが生まれて。


この夫婦に、幸せな期間って一体何年あったの?

旦那様はおそらく軍隊で家を留守にすることが多かっただろうから、年数ではなく、日数になってしまうほど、夫婦として過ごした時間は短いはず。

それでも、妻子を置いて遠いところへ行かなければならない旦那様に、私はまだ大事なことを言っていない。

何を伝えても悔いが残るだろうけれど、何も伝えなくていいの?

自問自答しながら、旦那様の顔を見た。

とても、優しい眼をしている。

私を見つめながら、旦那様が口を開いた。


「俺の出征後、机の引き出しの一番上のものを和子に託す」
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