オトナの秘密基地

「強く、はまあ……確かに四人共強いというかしたたかですね。
賢く、は私について言えば微妙ですよ~。
美しくは全力で否定させてもらいま……」

「それ以上、自虐的なネタはいらないよ。
さっきまでさんざんみんなにいじられて、自信喪失した?」

自信喪失? それは違う。

「私、そもそも喪失するほどの自信なんて持ち合わせてません!」

みんなから容赦なくかわれたのは恥ずかしいけれど、中田さんから『自信喪失?』と言われるのもかなりの恥ずかしさ。

「いや、十分自信持っていいと思うんだけどな」

くすくすっと笑いながら、中田さんが言ってくれた言葉に、耳を疑った。

「あのさ、校長先生のお話じゃないけれど、美しくっていうのは『見た目』じゃないんだよな、この場合。
『強い体、賢い頭、美しい心』って習ったと思うけど」

「……そう、でしたね」


確か、校歌にもそんな感じの歌詞があった。

今でも歌える自信がある、慣れ親しんだ校歌。

などと思い出に浸っていたけれど、よ~く考えてみたらちょっと引っかかる、今の言葉。


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