オトナの秘密基地
「その原因に心当たりは?」
「そりゃあまあ、色々と。何しろ私、昔から女らしさが足りなくて。
そういう部分は全部母親のお腹の中に忘れてきちゃったんですよ、きっと。
だから妹は無駄にフェロモンたっぷりなんでしょうけどね」
「……そうは思わない、けど」
私をちらっと見てそう言ったあと、中田さんはまた目線をピスタチオに向けてしまった。
照れているようにも見えるその様子は、多分お互いに酔っているせい。
そもそも、彼氏が出来たのも私にとっては奇跡だったと思う。
大学の専攻が経営学だったこともあり、周りには男子が多かった。
だから、こんな私でも一応女の子扱いしてもらえて、実はちょっと嬉しかったのを思い出す。
その中でも、一番優しくしてくれたのが「彼」だった。
一般教養も、サボるとすぐ単位を落としてしまう体育も、偶然彼と履修科目が重なっていたらしい。
よく顔を合わせて、一緒にノートをコピーし合って、テスト勉強をして……。
「付き合おう」って言われたのは、大学1年の夏。
大学生になって初めてのテストが終わったその日だった。