オトナの秘密基地
「祖母が使ってたテーブルだよ」

「やっぱり、そうですか。なんだか懐かしいなって……」



そのテーブルに、中田さんがビールを置いてくれた。

「明日も仕事だから、軽く飲もうか」

私は頷きながら、差し出されたグラスを受け取り、乾杯する。


「さっきさんざんみんなから冷やかされてたけど、和実はどうして今まで彼氏を作らなかったのか、聞いてもいいか?」

いきなりその話題を振ってくるとは。

私は何と答えるべきか、慎重に言葉を選びながら少しずつ話すことにした。

「……作らなかったんじゃなく、作れなかったんですよ」


「作れなかった、とは?」

ビールと一緒に出されたピスタチオの殻を剥きながら、中田さんが話の続きを促す。

仕方なく、封印していた黒歴史を振り返る。


「……大学生になって、はじめて彼氏ができたんですけど、その彼に言われたんです。『もうお前を女として見ることはできない』って」

今でもはっきりと覚えている。彼の青ざめた顔と、急に冷たくなった態度を。

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