シュガーレス
私の反応に、カナ達の怒りのボルテージが上がる。
「「はぁっ!?」」
だって、そんな風に気に入らない物を否定して、
それが、自分達を下げている事に気づかないなんて。
何て、
愚かで惨めなんだろう。
「ふ、ざけんな…っ!!」
あ、殴られる。
怒りで顔を赤くした、カナの振り上げた拳を見ながら、まるで他人ごとのように思っていると、
いきなり…
---ガラっ!!
トイレ入り口の扉が開いた。
「美里ちゃん、大丈夫っ!?」
「…なぎさちゃんっ!?」
顔を真っ青にして飛び込んできたなぎさちゃんを、抱き止めようと思ったけど、ビショビショの制服に気づいて躊躇した。
それなのに、なぎさちゃんは気にもしないで私を抱き締める。
「…なぎ。」
「怖かったね。」
その瞬間、熱いものが込み上げてきた。
そう、怖かった。
喧嘩するのも、人に嫌われるのを実感するのも、
初めてだったから。
なぎさちゃんの優しさに触れて、緊張の糸が切れたみたい。
このまま、なぎさちゃんにすがって泣いてしまいたかったけど、何とか我慢した。
こいつらの前じゃ、絶対に泣いてやらない。