シュガーレス


不意に、お手伝いさんと目があった。


「お茶のおかわり…いかがですか?」


にっこりと、微笑まれる。


「え!?
あ、すいません…。」


私ってば、よっぽど美味しそうに飲んでたのかな…


恥ずかしくて、顔が熱くなる。


「いえ、嬉しいんですよ。」


ふんわりと微笑みを浮かべる、お手伝いさんを見ると何かホッとする。


まるで、この紅茶みたいだ。


…優しそうな人だなぁ。


「あの、この紅茶すっごく美味しいです!」


「ふふ、ありがとうございます。」



そんな私たちを、透が不思議そうに見つめる。


「紅茶なんて、どこがウマいねん?わからんわー」


「え、美味しいよ?」


「透さんはコーヒー派なんですよね。
だから、私の入れた紅茶を飲んで頂いた事は無くて…。」


と、残念そうな顔をするお手伝いさん。


「サチさんのいれてれたコーヒーも、ウマいよ。」


そう言われてみると、透が飲んでるのはコーヒーだ。


「奥様は紅茶派、透さんはコーヒー派なので、お二人揃った時には、今のように同時に出せるようにしてるのですよ。」


はぁー

そりゃ、面倒くさい…。


お手伝いさんも大変なんだな。


「私は断然、紅茶だなー」


コーヒーは飲めなくは無いけど…ミルクと砂糖をいっぱい入れなきゃいけないし。


「はぁ!?
男なら黙ってブラックやろ!」


「いや私、女だしっ!」


てゆうか、何それ。


別に、カッコ良くもないし。






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