シュガーレス


「おはよぉ!」



朝の教室。


まだ朝特有のけだるさが抜けなくて、ぼーっとしていると、
私の大好きな声が聞こえた。


関西なまりのイントネーションが心地よい。



「おはよー小泉くん!」


「透!おはよーっ!」


男女問わず人気者の彼に、みんな口々に挨拶していく。


彼が現れただけで、教室の雰囲気が華やぐんだ。



あぁ…

切ない。


私なんか、彼の視界には入ってないんだろうな。



あぁ…

あの笑顔が私だけに向けられたらなぁ〜



「…さと…美里?」


自分が呼ばれている事に気づいて、ハッと顔を上げた。








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