空蝉の光 -桜花乱舞-
前はこんなに苦しい想いはしたことがなかった。
でも、彼と…、一哉君と出会ってからはこの想いをよく感じるようになった。
彼に恋してからは――。
「桜ちゃん、落ち着いて!」
一哉君は胸を叩く私の手を掴んだ。
「こんな苦しい想いをするくらいなら、一哉君に出会わなけば良かった…っ!」
「それは困るよ」
一哉君のそんな呟きが聞こえると、掴んでいた手を離され、彼の手は私の頬に触れた。
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