プレシャス
…たぶん
これが頼子なら人目なんて気にもせず
こんなとこでも素直に怒って泣いたりだって出来るんだろうな
「…ほら、ホントに遅れるよ?」
「だって志穂ぉ…」
…あたしも
あたしも頼子みたいに泣いたり出来たなら
ズキンズキンと打ち付ける鼓動みたいな痛みも
…一人ぼっちの寂しさも
振り払っても絡み付く真っ黒で重たい気持ち…
ずっと抱えずにいられたのかもしれない。
「志穂っ、今日は飲みに行こっ?ホラ、たまにはふたりでっ」
「やだ、頼子大丈夫だよ?修のアレは前からじゃない」
…ダメだなあ
あたし
すぐ心配かけちゃって
ため息混じりに頼子の背中を叩いてにっこり笑顔を作る。
「それに頼子、レポートまだでしょ?明後日提出なんだからそんな暇ないでしょ」
「でもぉ…」
「大丈夫、こんなことで泣かないよ、あたし」
そう
泣かない
でも
ホントは…
泣けないんだ