プレシャス
圭介になら
きっと
話しても大丈夫
あの日見た
修のこと…
そして
…坂井君とのこと
きっと
わかってくれる
きっと…
「圭介、あ…のね…?あのっ」
「志穂」
意を決して
そう思って口を開こうとした瞬間。
真上から静かな声が聞こえて。
ゆっくりと顔をあげた先には、ほんの少し真顔の圭介が見えた。
「…志穂、修と別れるつもり……?」
ちょっとためらいがちに、でも何か言いたげな瞳。
その瞳に
なんだか胸の奥がざわついた。
「…なに?とつ…ぜん」
自分の鼓動が
警笛みたいに響く。
まるで聞いちゃいけないことみたいに…。
でも
耳を塞ぎたくとも圭介の視線は
それを許さなかった
「あのさ、修…さ
いい加減で気まぐれでどうにもなんない奴だけどさ…だけど…
志穂…アイツ…見捨てないでやって」
圭介の口から飛び出したのは
そんなひと言。
「アイツさ…小さい時、親が二人して蒸発してさ。
そのせいか愛情とか…信じきれないんだ」
なんでかな
圭介の声が遠くに聞こえる
「すっげー好きな女が出来ても、本気になれない。
…いやホントは…本気になるのが怖いんだ」
…聞きたくないのに
聞いたら…
また動けなくなりそうなのに
「だけど志穂とはずっと続いてる。
だからもしかしたら志穂のこと、大切に思ってるのかもしれない。
だから…」
なのに……
「修を頼む」
ゆっくりと帰り道へと足を進める圭介。
長く伸びる圭介の影に
無性に…
無性に
坂井君に会いたくなった

