プレシャス
「じゃあ、俺コンビニ寄るから」
千鳥足な大造がそう手を振って
駅までの道は三人。
頼子をおぶった圭介とあたしの2つの影が街灯で照されていた。
「圭介大丈夫?重くない?」
「大丈夫。あ、でも荷物だけお願いしていい?」
「あ、うん」
「てか、なんで人間って眠った途端重さ増すんだろね」
「明日、圭介は筋肉痛確定だね」
すでに完全に撃沈の頼子は、気持ち良さそうに寝息を立てて
圭介はそれを起こさないように、ゆっくりと歩いていた。
「修…」
「え?」
「あ、いや、結局来なかったなって…」
ためらいがちな圭介のひと言。
目を合わせると、ちょっと心配気に見下ろしてた。
「ん…忙しかったのかもしれないし。急だったから仕方ないよ」
「うん…でも志穂、大丈夫?」
普段から圭介は。
大造や頼子みたいにいろんなこと言わない。
隣でただ話を聴いてくれる、そんなお兄ちゃんみたいな存在。
そして…
「修には…俺からもちょっと話してみようか?」
仲間内で修と一番仲良かったのも圭介だった。
「ううん…逆にごめんね?なんか、途中修の悪口ばっかりになっちゃって」
「いや、仕方ないよ。アイツ気まぐれ過ぎるし」
そうは言ってくれるけど
やっぱり…気持ちいい話ではきっと無かったよね。
「志穂は何も気にしなくていいからね」
大丈夫、大丈夫って柔らかく笑ってくれる圭介。
「あ…うん…」
みんなには言えないけど…
圭介には話しとこうかな
あたしが見た
あの日のこと…
そして
坂井君とのこと…