君がいたから。





妹を抱き締め
思いっきり目を閉じた。

だが、いつになっても
痛みが身体を襲うことは無かった。

ゆっくりと瞼を開けてみる。

そこには、
私の前で倒れている母が居た。

父は、それを見て満足したのか
鼻で笑って
引き出しからお金を取りだし
夜の町へと姿を消した。


「ママ、ママ。平気?」

「うっ...、ううっ、」


その時、初めて母の涙を見た。
妹を抱き抱え母の身体を撫で
私は決心した。



「大丈夫。
ママも、千佳も私が守る。」

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