禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~
 これこそが、建築士さんに密かに頼んで造ってもらった、私達だけの秘密の装置だ。


 壁際に設置された書棚が、互いの家を行き来するための秘密の扉になっていて、書棚のある本が、この装置を作動させるためのスイッチになっている。私の家、というか私が住む方の家では医学の専門書がそれで、裕美さんが住む方の家では経済の専門書がそれになっている。その本を手前に引くと扉が横にスライドして開き、元通りに押し込むと閉じる仕掛けだ。

 しかもその横の本はロックになっていて、奥に押し込むとロックが掛かり、引いて戻すとロックが解除される仕組みだ。この装置は直人さんと和也の二人で考案したのだけど、とてもよく出来ていると思う。


 書棚、つまり秘密の扉が完全に横に開くと、そこにはぽっかりと大きな穴が開いた。まるで異次元空間への扉が開いたみたいだ。


「あ、そうだ。僕は明日から仕事なんですが、志乃さんや和也君は……?」


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