一緒に、歩こう




その日、たまたま家に

来ることになっていたので、

急いで帰ることに。





「ごめん!遅くなっちゃった!」




家の前に座っていた隼人に

あたしは車から降りて、

すぐ謝った。

半分寝かけていたのか、

ん、とだけ言って玄関まで

歩いて行く隼人。

後ろ姿を見て、

なぜか切なくなった。





「ご飯は?」




「まだ食ってない」




「今から作るから、待ってて」




んー、と言いながら

ソファに腰をかけ、

テレビを見ている隼人。

あたしは、いつ告げられるか、と

ドキドキしながら台所に立った。





「はーい、出来たよ~」




あたしは出来立ての料理を

テーブルに運ぶ。

隼人はやっと出て来た、と

いうような顔をして

並べられている料理を

眺めている。





「早く食お」




「はいはい」




あたしは、彼の前に座って、

端を持ち食べ始める。

もぐもぐ頬張る隼人の口の中が、

空になることがないように、とか。

沈黙が走らないように、とか。

そう願いながらご飯を食べた。





「あー、美味かった」




「よかった。片付けるから待っててね?」





あたしは台所に食器を運ぶ。

つもりで立ち上がろうとした、が。





「待って」




その一言で遮られた。



< 331 / 497 >

この作品をシェア

pagetop