一緒に、歩こう
「外ぶらぶらしてたら、たまたま会って。そしたらこの間文化祭邪魔したやつらが絡んできて。朝比奈先生が困ってたから、庇ってやっただけ」
隼人がそう言うと。
「そっか」
担任はそう納得して、
立ち上がった。
「矢野、もう帰りなさい。朝比奈先生も、今回ばかりは矢野に感謝ね」
「休日にご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
少し薄ら笑いを浮かべ、
挨拶してから帰るからと
言い、奥に入って行った。
「何だよ、俺…」
「隼人、」
くそっ、と座っているベンチを
殴りつける。
静かな待合室に、
少し鈍い音が鳴り響いた。
「俺は、お前といたことも全部、なかったことにしなきゃなんねぇ」
「もういいよ、隼人…」
「情けねぇよ、まじで」
「先生が出て来られる前に。帰ろう、家に」
あたしは待合室の外を見渡し、
誰もいないことを確認すると
隼人に手招きをした。
並んで歩くのに、
あたしは彼の手を握って
あげることすら出来ない。
やっぱりあたしは、
ちっぽけな教師なんだ。