幽霊の思い出話
 九月半ばになり、計画を実行する日を迎えた。

 悟られてはいないだろう。芹沢派は特にいつもと変わりなかった。

「左之」

 縁側に座り、八木邸や近所の子どもたちが遊んでいるのを眺めていると、斎藤さんが背後から声をかけてきた。

「斎藤さん、どうした?」

「いよいよだな」

「・・・あぁ。斎藤さんは残りだったな」

「あぁ。失敗するなよ」

 嫌なこと言うなよ、と俺は笑ってしまった。

「もう少ししたら、出るんだろう?」

 島原の一角での宴会がもうすぐ始まる。

「あぁ、行ってくる。なぁ、斎藤さん。もし、あんたは今いる俺たち・・・、いや、俺と志を違えることがあったら、あんたはどうする?」
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