幽霊の思い出話

「俺もそうだからな」

「えっ?」

「一人が楽だ、心地好い、そう思っていた。いや、今もそう思ってる。だけどやっぱり、誰かと話したくなる時が来るんだよな。寂しくなるんだろう。だからこうしてここに来ておまえと話してるんだ」

 ブランデーの入ったグラスを見つめながら話す石川様。先程の豪快に笑う姿が嘘のように急にしんみりしていた。

「何かありました?」

「ん?」

「こんなに饒舌に話すなんて滅多にないでしょう?」
< 51 / 279 >

この作品をシェア

pagetop