そこにいて笑ってて
「わっ!わわわっ!
 穂高くんっ‥‥!」
「隣、いい?」
「ど‥‥ぞ‥‥?」


お前は俺の顔を不思議そうに眺めてから、
今頃気付いたかのように涙をぬぐった。



「なんでサボってんの?」
「あ‥‥あはは、ちょっと嫌な事あって!
 穂高くんは?なんで?」
「俺は別に‥‥
 タバコ吸いたかっただけ。」
「あっ、そっか。」


話題は止まった。
別に俺は黙ったままでもよかった。
けど、お前が気まずそうにしてるから‥‥
もう1度話しかけるしかなくなった。


「泣いてたのも、その嫌な事のせい?」
「えっ!えぇっ!見てた!?」
「ばっちり」
「あぁ‥‥うん‥‥
 その、嫌な事のせい」
「彼氏とケンカでもした?」
「あはは‥‥彼氏なんか、いないよ。」
「へぇ?でもさっき、『嫌い』って言ってなかった?」
「あ‥‥あぁ‥‥うん‥‥
 それは‥‥」


お前は俺の顔をチラッと見て、すぐにそらした。
そして、少し考えたような顔をすると、
ゆっくりと口を開いた。
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