ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(黒川さん――?)


これは一体、何――?


ほんのわずかな一瞬で。

突如、黒川さんの黒い目に、異様な光を帯びた狂気がむくむくと顔をのぞかせたような気がして。


(あ……)


突然この人がものすごく怖くなった。


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「すみません、あたし、今日は、か、か帰ります」


公園の中をしばらく走って、後ろを振り返ると、背後には誰もいなかった。


(よかった……追いかけて来なかった)


異様な目の光を思い出して、また背筋がゾクッとする。

まだ早鐘を打つ胸を手でそっと押さえて何とかなだめながら、深呼吸しつつゆっくり歩く。


(ていうか……全然良くないから!

飛び出しちゃうなんて、余計悪いよ……)

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