翼[短編]
「あなたの未来、占います。」
今まで占い師に視てもらったことなんかないし、雑誌や新聞の占いコーナーすら見たことはない。
もちろん占いや神なんか信じてない。
なのに、その看板になぜか引き寄せられて、気がつくと看板のかけられたドアの前に立っていた。
「お一人様 3000円」
よく見ると、看板の端のほうに小さくそう書かれていた。
いつもなら馬鹿馬鹿しい。そう思って止めるのに、俺はドアを押して、中に入っていた。
「いらっしゃいませ。」
そう言って出迎えてくれた占い師は、真っ白なワンピースを着た、まだどこか幼さの残った顔立ちの女の人だった。