翼[短編]
占い師は魔女みたいに黒っぽい服をきた怪しい雰囲気のお婆さんだと偏見に満ちたイメージを持っていた俺は、なんというか拍子抜けしてしまった。
この人って、どっちかって言うと、天使に近いような…。
俺がきょとんとしているのに気がついたのか彼女は、「どうぞかけてください。」とにっこり笑った。
その笑顔は本当に天使のようで、向けられた人全てが温かい気持ちになるような笑顔だった。
その笑顔に触れて、俺は少し心が軽くなった気がした。
俺が椅子に座ると彼女は、鉛筆を持って紙に何か描きだした。
『何…してるんですか…?』
「私は、あなたの周りに見えるものを絵に描き出すんです。」